古き良き時代と言った雰囲気のカウアイのホテル。 サーフスポットに向かう車から撮った写真。 オアフに比べて背の低いヤシの木が密集して生えている印象が強かった。 やはり緑は心を和ませた。 夕方には、松明をもったハワイアンがホテルの外の松明一つ一つに火を灯していた。 幻想的な太古からのポリネシアの姿を見るようだった。
もうこれ以上は喉を通らないというギリギリまで食べて、僕らはおじいちゃん、おばあちゃんの家を後にした。 泊まるのはここではなく、Roydenの従兄弟の家だと言う。
別れを惜しみ、まだこれも食べなさいとか、まだ十分じゃないんじゃないかと言ってくれるおじいちゃん、おばあちゃんに後ろ髪を引かれる思いで別れを告げ、再び車に乗った。
「僕はまたこの暖かい人達に会うことができるのだろうか」という疑問を心のどこかに追いやり、暗闇の中、車の進むに任せた。
実際、Roydenのおじいちゃん、おばあちゃんとは15年以上会っていない。 今も元気にしているだろうか? 会いたい・・・。
しばらく走ると、ちょっとした牧場に入っていった。 母屋は木造のがっしりした建物で、従兄弟はここに一人で住んでいると言う。
相変わらず暗闇が世界を支配している。 家の中に入るとそこはまた暖かく光がともっていた。 やはり満面の笑顔で従兄弟は僕らを迎えてくれた。
その家の一番居心地の良いであろうイスを僕に勧め、ゆっくりしてくれと言ってくれる。 テレビはオアフほど無い田舎だからつまらないかもしれないが、何でも好きなチャンネルにしていいぞとリモコンを渡してくれた。
「腹は減っていないか?」と聞かれて、ちょっと困ってるところへ、Roydenが「おじいちゃん、おばあちゃんのところで食ってきたから。」と答えてくれた。
しかし、かれのサービスは終わらない。 「じゃあ、ビールはどうだ?」「ありがとう。 だけど、僕は酒が飲めないんだ・・・」「そうか・・・」そう言うととても悲しそうな顔をした。 食事も飲み物も僕に断られたからだ。
「じゃあ、コークがあるぞ。 どうだ?」「うん。 でも腹いっぱいなんだ・・・」「そうかぁ・・・」日本から来た僕に本当に何かをして喜ばせたい、歓迎したいという純粋な気持ちが痛いほど伝わってくる。
その気持ちに僕は耐えられなくなった。 本当にはちきれんばかりに腹いっぱいだったが、しばらくして、「じゃあ、コークもらえるかな?」と言うと、彼は満面の笑顔で「そうか、今すぐ持ってくるから待っててくれ。」と言ってキッチンへと消えた。
程なく、氷を入れコークを注いだグラスとまだ中身が残っているコークの缶を持ってきてくれた。 「さあ、どうぞ。」と言う彼の顔が嬉しそうだった。
僕はそのグラスを持つと、グイと一気にその黒い液体を喉に流し込んだ。 「ぷはー美味い。 ありがとう。」と言うと彼も「シュモール・カイン(たいしたことじゃないよ。)」と言いながらいっそう嬉しそうな表情になった。
なんて純粋で暖かいんだろう・・・こんな純粋さを僕らは持っているだろうか?
続く
A hui hou.
コメント