カウアイのシークレットスポットをバックにはしゃぐRoyden。 今は彼のこんな楽しそうな顔を見ることができない・・・ 数年前、ワイキキで働くグレッグがRoydenを見かけ、シャワーを浴びさせ、食事を食べさせたと言っていた。 彼はやはりホームレスをしていたらしい。 よほど腹が減っていたのか、むさぼるように食べていたという・・・
前回、Roydenから仲間や家族が離れてしまったいう僕の悲しい体験を書いた。
しかし、ブログを読んでいただいたある方から、「こんなに友達や家族を大切にする人達なのだから、もっと他の理由があるのじゃないか?」と指摘をうけた。
実は、その指摘は図星だった。 皆さんにお詫びしなければならない。 前回の投稿を書いている時、僕は葛藤していた。 事実を書くべきか否か? その時の答えは、彼自身や彼の家族の名誉に関わる事なので、事実は伏せようと判断した。
しかし、それは僕のブログを読んでくれている方への誠意が無いと思い知らされた。
恥をしのんで、今日は本当のストーリーをお話したい。
あるとき、彼の家に泊まり、僕はいつものように彼の部屋を使わせてもらうことになった。 荷物をほどき、財布やパスポートを机の上におくと、Roydenが興奮気味に言ってきた。
「そんなとこに財布を置いちゃだめだ! ハワイは日本と違うんだ、隣の家の人間がそれを見つけたら、盗むかもしれない。 どこか目に付かないところに隠してくれ!」
僕は釈然としなかった。 隣から財布が見える場所にあるとは思えない。 Roydenはその時も定職についていなかったが、金回りは良さそうだった。 腕には金の時計をしている。
僕が以前彼にあげた腕時計ではなかったが、その後僕のあげた時計を一度も見る事はなかった。 ハワイの友達の今までの行動からすると、ちょっと意外だった。
その後その理由がはっきりする時がくる。 その理由こそ、Roydenが警察に捕まり、友達や家族を失った理由だった。
それはコカイン・・・ 中でもクラックと呼ばれるものだった。
いつどうしてそんなものに手を出してしまったのか分からない。 いつの間にか常習者になっていたようだった。 日本にいた僕はそれを知らなかった。
ハワイの友達がそれを知り、自分もその中に巻き込まれるのを恐れて離れていってしまったのだ。 家族はけしてそれを許さなかった。
Roydenは僕の前ではしばらくそれを隠していたが、他のハワイの友達からその事実を教えられた。 「お前も気をつけたほうがいい」と。
彼がいなければ、僕はここまでハワイに深く入りこみ人生そのものを豊かにすることはできなかった。 彼は今でも僕の恩人であり、ブラだ。
しかし、彼は僕のあげた時計も売り払いコカインを買う金に換えていた。 僕の財布に対してあれだけ興奮したのも、そこから金を盗んでしまいかねない自分の衝動との戦いに勝つ自信が無かったのだと思う。
「僕があげた時計使ってくれてる?」と聞いたときの彼の本当に困った申し訳なさそうな表情が全てを語っていた。
僕への友情は変っていなかった。 しかし、コカインが彼の理性を打ち負かしていた。 友達や家族を失った今もコカインを続けているのかもしれない。
今彼がどのような生活をしているか、僕にもハワイのブラ達にも知る由がない。
ハワイはアロハがあふれ、美しい自然にあふれた素晴らしい島だ。 しかし、アメリカの50番目の州であることも事実。 麻薬や拳銃の問題もまた存在するのだ。
本当のアロハ(優しさ)ってなんだろう? ただ人に親切にするのは比較的簡単な話だ。 しかし、自分を律したり、自分が辛いときでも他人を思いやることができる強さがなければそれは偽モノなんじゃないだろうか?
いつか彼がコカインから立ち直り、再び僕らのもとに戻ってくる日が来ることを祈っている。 あんな素晴らしいRoydenの家族が辛い想いをし続けてはいけない。
Come back, Royden!
続く
A hui hou.
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